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2006年04月03日

「心の底に見えたもの」なだいなだ著

このような本のタイトルを見ると、つい手がのびてしまいます。精神科医で作家のなだいなださんの著書であり、心理学が誕生した頃の話や、精神分析を作り出したフロイトの生い立ちやその試み、ヒステリーやトラウマなどの心の不思議が、子供に語りかけるような口調で分かりやすく書いてありました。

フロイトが精神分析という方法を作るきっかけとなったのは、ヒステリー患者の診察でしたが、当時ヒステリーは催眠術で治療されていたようです。催眠術は人によって効き方が違い、病気が治っても一時的なのだとか。その中でのフロイトによる人間の無意識の発見は、さぞ画期的なことだったろうと思い、芸術の分野にも大きな影響を与えたことを改めて思いました。

また、精神分析は、患者の心のうちを洗いざらい話させる中で病気の原因を探る方法ですが、診察を重ねる中で、患者は医者に愛情を抱くようになり、病気が完治するのを恐れる場合があって難しいという話は非常に興味深く、人間の心理の複雑さを感じました。
 
最近は、差別などの社会的な「不満」が原因と考えられるヒステリーは稀になり、その代わりに、「不安」からくる神経症が増加しているのだそうです。生き方の選択肢が増え、自由と同時に責任をも背負い込み、人々が漠然とした不安を抱えながら生きる現代社会、その姿をこの本の中に見ました。
posted by MIHO at 00:34 |